うんとこしょ どっこいしょ
それでもかぶは ぬけません
誰もが知ってる絵本「おおきなかぶ」
ロシアの昔話をもとに作られた童話。
我が家は子どもも大人も大好きで、子どもがよく読んでほしいと持ってくる絵本のなかの1冊です。
この絵本、子どもの頃は気付かなかったのですが、突っ込みどころが満載でした…
おじいさん、ちょいちょいカブを踏んでます。
ここでも!!
まだまだ踏みます。
このじいさんの足がカブ踏んでるから抜けないんじゃ…
このカブの奥でも踏んでいるに違いない…
うぇーい。こーんなポーズでも踏めるんだぜ!!
…
!
!!
!!!
うしろのばあさん…笑ってる。気付いてやがる…!!
そしてちょいちょいあきらめモードwwなんだかじいさん愛されキャラだな。
犬が出てきたあたりから…
この犬の感じだと、力伝わってないですよねw
ユーモアがあって、かつ繊細で、人の温かみが伝わるような美しい挿絵。不思議と惹きつけられるこの絵本。
この「おおきなかぶ」の挿絵を担当された方を調べてみました。
明治45年、宮城県黒川郡生まれ。彫刻家。少年時代を北海道で過ごし、絵画を学ぶために上京するが、ロダン、マイヨール、デスピオなど新しい生命主義の作品に感銘を覚え彫刻家を志す。東京美術学校(現東京藝術大学)を卒業後、新制作派協会(現新制作)を舞台に活躍。
昭和19年に兵役に招集、終戦後のシベリアでの抑留生活を経て帰還後に制作を再開。その体験から、平凡なごく普通の日常生活の中でほんの一瞬だけ垣間見る「人間の美」を追求した作品を多く手掛ける。
昭和56年には、パリの国立ロダン美術館で日本人初の個展を開催。
その功績により、フランス・アカデミー・デ・ボザールの客員会員に推挙されるなど、国際的にも高い評価を得ている。
佐藤忠良さん…なんと彫刻家!!さらにシベリア抑留経験がおありだとか!!
この絵本、冒頭でも言いましたがロシアの民話です。
なんだか佐藤さんにすごく興味がわいてきました…
「おおきなかぶ」は福音館書店から出版されていますが、元福音館書店の松居直さん講演会「ロシアの絵本を日本の子どもに」に、このような言葉がありました
佐藤先生の絵は隅から隅まで動いている。息遣いが感じられる絵です。それに生活感があります。シベリアで生活していらっしゃいましたから、ロシアの農民の生活感というのを実感としてもっていらっしゃる。
佐藤先生は「僕は捕虜のときに紙もなくて書く鉛筆も何もなかった。だけど、毎日目でデッサンしましたよ」とおっしゃったのを今でも覚えています。「ちゃんと物を見て、そして自分の中でデッサンした。書くものはないけれど、毎日毎日デッサンした。だからピカソの絵なんかを見ていると、ピカソがどんなにちゃんと物を見ているかということがよくわかりました」と。捕虜時代にそういうことまでやっていらしたのですね。
シベリア抑留中に大変な思いをされながらも芸術家としてのまなざしを常に忘れなかった佐藤さんだからこそ描くことができた素晴らしい挿絵なんですね。
戦争というつらい経験が、普通の平穏な日常生活の温かみの大切さをより強調させたのでしょうか。
あの本をつくった当時は、子どもたちに見せるためにふわっと甘い感じで描いた「童画」というのが流行っていたんです。松居さんがね、ぼくに、本当にデッサン風な絵を描いてくれっておっしゃったんですね。決しておもねらないで、写実風に、それを子どもたちに見せたいからって。僕は3回描き直した。自分で気に入らなくて。ほら、この、かぶを引いてるおじいさん。これが押しているように見えるんだ、下手をすると。だから、自分で鏡に映して、ポーズをしてみて、押した絵と、引っ張ってるのと、どこがどう違うのかって考えて。出典『母の友』福音館書店(1997年)特集記事
すみません。踏んでるなんて言って( ゚Д゚)
軽い気持ちから、今回この「おおきなかぶ」について記事にしたのですが、調べていくうちに、この絵本にかけられた福音館書店の松居さんの情熱と挿絵の佐藤さんの想いにとても感動してしまいました。
佐藤さん、他の絵本の挿絵も書いていらっしゃいました。
こちらもロシアの民話です。私はまだ読んだことがないので、ぜひ読んでみたいと思っています。
うちのこに大ウケした「おおきなかぶ」じゃなくて「おおきなかぼちゃ」
ハロウィンにおすすめです。
魔女の育てた大きなカボチャ。大きくなりすぎて動かない!!
ハロウィンでおなじみのメンバーが続々と集まってきますよ( *´艸`)